預金保険機構 Deposit Insurance Corporation of Japan
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理事長挨拶
 預金保険機構の理事長をつとめる永田 俊一でございます。

 預金保険機構の業務につきましては、日頃より、格別のご支援、ご協力を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。

 預金保険制度は、預金者が金融機関に預金を預け入れる際、預金者、金融機関及び当機構との間で自動的に保険関係を成立させることにより、万が一、金融機関が破たんした場合に、定められた預金種類や金額の範囲で、預金者の預金を預金者への払戻しという直接的方法や別銀行が承継するといった間接的方法で保護することによって、信用秩序の維持に資することを目的とするものです。
理事長写真
理事長 永田 俊一
理事長写真  当機構は、我が国に創設された預金保険制度の運用主体として、昭和46年7月、預金保険法に基づき、政府、日本銀行及び民間金融機関の出資により設立されました。その後の法改正、とりわけ平成8年の抜本的改正及びその後の厳しい金融情勢等に対応するため数次の法改正等が行われ、その業務内容は拡大・多様化し、今日に至っております。その結果現在では、預金の定額保護を前提とする平時の保険事故から、危機対応のため預金の全額保護を前提とする有事の保険事故まで、状況に応じた保険機能がラインアップされています。

 当機構の業務は、保険事故処理の観点でみますと「預金保険の保険料徴収・保険金支払等と金融機関の検査」「金融機関の破たん処理」「不良債権の整理回収・企業再生等」「健全金融機関等の資本増強」「経営者等の責任追及」の5分野に大別することができますが、その概要は次のとおりです(詳細は、「機構の業務内容」及び「機構の活動状況」のページをご覧下さい)。
(1) 「預金保険の保険料徴収・保険金支払等と金融機関の検査」に関する業務
   預金保険制度の運営原資として金融機関から保険料を徴収し、金融機関が破たんした場合に預金を承継した金融機関に対する「資金援助」または「ペイオフ(保険金支払)」の方式で預金者の預金を保護します。また、この業務を適切に遂行するため、預金者の預金種類や金額の範囲を預け入れ金融機関毎に確認することが必要です。そのため金融機関に対して名寄せデータ及びシステムの整備状況等について立入検査を行っています。
 なお、預金の全額保護を前提とした有事対応の運営原資として財政資金(交付国債の償還の形で)が使われてきました。

(2) 「金融機関の破たん処理」に関する業務
   保険事故は、金融機関の破たんに伴って起きます。預金を保護する一方、金融機関の適切な破たん処理が同時に必要です。平時の定額保護下では承継金融機関への資金援助や保険金直接支払に対応し破たん金融機関の処理は民事再生法や破産法等の法制に基づき行われます。一方、有事の全額保護の政府が決定する危機対応にあたっては、後述の資本増強措置の外、破たん金融機関は金融整理管財人によって処理される場合と政府直轄の特別危機管理銀行として処理される場合があります。当機構は前者で管財人そのものになることがありますし、後者では特別危機管理銀行の処理を支援します。

(3) 「不良債権の整理回収・企業再生等」に関する業務
   破たん金融機関の処理にあたって不良債権を買取り、回収・処分(証券化・流動化を含む)をする必要があります。機構は、子会社である整理回収機構(RCC)にこれを委託しています。その過程で債権の価値を上げられる案件については債務者企業の再生等の業務を指導・支援しています。
 また、時限的措置ですが、健全金融機関から不良債権を当機構の買取価格審査会を経て買い取りその回収・処分にも取り組んでいます。同じく当機構の子会社である産業再生機構(IRCJ)の新・再生事業と相まって経済の活性化・構造調整にも役割を担っているわけです。
 なお、回収・処分の過程で債務者の財産が隠匿されているおそれがある場合は、当機構独自の財産調査権によりその発見に努めています。

(4) 「健全金融機関等の資本増強」に関する業務
   金融機能の安定及び金融システムの強化を図るため、当機構は、金融危機対応あるいは金融機関の経営基盤強化支援対応として健全銀行等に対する公的資金による資本増強の業務を行っています。平成9年度以降、大手行にはじまり地銀まで早期健全化法等に基づき、10兆円強の資本注入が行われたことを記憶されておられることと思います。また、預金保険法自体にも危機対応の一環として資本増強措置は組み込まれていますが、これに基づき、平成15年6月にりそな銀行への資本注入が行われているところです。
 なお、平成16年6月に成立しました金融機能強化法では、金融機関の業務の効率的運営と地域経済の活性化を図るため、時限的に資本注入が規定されています。

(5) 「経営者等の責任追及」に関する業務
   当機構は、課せられた告発義務実施のため当機構に責任解明委員会を設け、RCCと協力して、破たん金融機関の旧経営者の経営責任及び悪質な債務者等の回収妨害に対する民事・刑事上の法的責任追及業務を行っています。
 法的責任を問う一方、前述の回収・処分の過程における財産調査と相まって、回収処分の時間的・金銭的促進が図られ、国庫納付金の増加につながっています。


 これらの業務を着実に遂行するため、行政の各省庁、司法、日本銀行、金融界など多種多様な分野から職員が参集し、専門的知識や様々な実務経験に基づき業務を行っております。
 なお、以上述べましたように、当機構は、預金者の預金保護のため、保険事故を適切に処理する中で、多様な資金供与の形態、資金回収活動を行うとともに、保険料の収入や財政資金の受け入れ及びそのための多様な資金調達を行っています。結果として、借入残高は17兆円になんなんとしています。返済財源は、毎年の保険料収入があり、資本注入等返済が予定されているものもあり、買取資産の回収もあり、全て同じ借金とは言えませんが、適切な予算管理、資金調達のALM的管理の必要性は益々高まっています。こうした課題に更に適切に応えるために、平成16年7月、全体として既存の定員の中で財務部を発足させたところです。

 預金保険制度は、平成14年4月以降、定期預金等について1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1000万円までとその利息の保護(定額保護)となり、また平成17年4月からは、決済用預金以外は全て定額保護へ移行いたしました。ここ2〜3年金融機関破たんといった危機的状況は遠のいており、経済も落ちついてまいりました。いわば平時対応の環境が整ってきたといえましょう。
 当機構は、前述のように預金の定額保護を前提とする平時の保険事故から危機対応のための全額保護を前提とする有事の保険事故までラインアップされた機能を揃え充実させる義務があるわけです。その意味で、決済用預金以外は全て定額保護へ移行したことから、平時対応の保険事故にも危機対応同様認識を深めて頂く必要があります。そのための説明義務を適切に果たすことは勿論のこと、金融機関が破たんした際、預金者に対する付保預金の払戻し等を円滑に行うため、金融機関に対して名寄せ検査を実施し、その預金者データ及びシステムの整備を促すなど、これに備えた態勢整備に努めております。

 当機構は、中立公正な機関として、公平性・透明性を念頭に、関係当局とも協力し、預金者、金融機関、当機構三者の「信頼の三角形」がより強固なものとなるよう、今後とも課せられた使命を着実に果たして参りたいと考えております。

 一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
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