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理事長就任挨拶

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理事長 三國谷 勝範

今般、預金保険機構理事長をつとめることになりました。日本の金融セーフティネットシステムの執行を担う立場から、精一杯の努力を重ねてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

預金保険機構は1971年に創設され、わが国金融セーフティネットシステムの執行面を担ってきました。昭和時代から平成時代にかけてのバブルの生成と崩壊、その後の日本の金融危機と克服、さらには、今次の世界的金融危機や東日本大震災における金融機能強化のための金融機関への資本参加など、預金保険機構制度とその運用には、日本の金融史の一側面が刻み込まれてきたと思います。この歴史の中で、1996年に開設された住専勘定は、2012年6月末にその使命を終えることができました。一時0.084%であった預金保険料率も、2015年度から0.042%とする旨の認可申請をすることが3月27日の機構の運営委員会で決まりました。新たな金融史が展開しつつあります。預金保険機構が、振り込め詐欺等の犯罪被害者の財産的被害の回復に一定の役割を果たすとともに、金融機関と反社会的勢力との関係遮断にも一定の役割を担うことになったことも、これもまた金融史の一側面であると思っています。

あらゆるシステムがそうであるように、制度と運用はシームレスにつながっているところがあります。運用自体も、金融危機対応会議のような高度の政府判断、行政庁の判断、それから私どもの現実の執行にいたるまで、そのつながりはシームレスであると思っています。根源的な課題は細部に宿っていることもあります。俯瞰という言葉を大事にしたいと思っております。

翻って、この四半世紀、わが国の経済金融は激動の連続でした。今日、わが国の金融システムは世界の中でも安定しているとの評価をいただいていますが、このことは、過去の有事への対応の蓄積の結果だと思っています。平時は有事の延長線上にあり、有事は平時の延長線上にあると思っています。わが国の金融システムが安定しているこの時期にこそ、「備えあれば憂いなし」のための基盤づくりと研鑽に努めてまいります。

その上で、ITと国際化への対応の視点が大事だと思っています。ITの進化は、金融システムをグローバルにリアルタイムで結びつけることになりました。取り巻く状況の変遷に対応したシステム整備に努めてまいりたいと思っています。

繰返しになりますが、リアルタイム化は即時のグローバル化でもあります。今次の世界的金融危機をひとつの契機として、世界中で金融機関の破たん処理対策や、預金者保護策の議論が活発になってきました。グローバル化の中での制度や運用のあり方については、共通的視点や考え方の理解とともに、各国の歴史や文化の違いも同時に認識することが重要です。執行機関としての立場から、これまでのわが国の経験も踏まえた対応をし、国際的な連携にも貢献していきたいと考えています。

日本の経済金融を取り巻く環境は、一刻たりともとどまりたるためしなしというのが実感です。日本の金融システムが安定し、預金者保護などの金融セーフティネットの役割がしっかり果たされるよう、最大限の努力を傾けてまいりたいと思いますので、ご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

平成27年3月
三國谷 勝範

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理事長講演