預金保険機構は、預保法、金融再生法等に基づき、整理回収機構(平成11年4月1日、住管機構と整理回収銀行が合併、株主は当機構のみ)の業務の実施に必要な指導・助言を行っています。整理回収機構における令和4年度上期の破綻金融機関及び健全金融機関等から買い取った債権の回収額は57億円(旧住専債権を含む譲受時からの累計額は10兆1,760億円)に達しています。
なお、整理回収機構では、顧客の事情を十分に把握し、弁済能力を勘案した弁済計画の相談に応じるなど適切な債権回収に努めています。
当機構は、整理回収機構に対し、必要な指導及び助言を行うとともに、債務者の財産が隠ぺいされているおそれのあるもの等について、当機構に付与されている財産調査権を活用して、隠匿財産の発見、それによる回収支援等を行っています。その成果として、平成8年以降に発見した隠匿財産の累計額は、令和5年3月末現在で、7,290億円となっています。
■財産調査実績(平成8年以降の累計)
調査着手件数 | 確認財産額 |
---|---|
2,954件 | 7,290億円 |
(注)平成27年度に確認財産額の計上基準を見直し(過年度分の一部は検証可能な範囲で集計)、請求可能額を上限とすることにした。
当機構、整理回収機構の業務の一つとして、(1)金融機関を破綻に導いた旧経営者等に対する民事上あるいは刑事上の責任追及、(2)債権回収を妨害したり、資産を隠匿する悪質な債務者等に対する刑事告発等の責任追及等を行っています。
平成9年以降令和5年3月31日までに、旧経営者等について提訴した民事上の損害賠償請求等訴訟は、合計127件、請求額合計約1,326億円に上り、また旧経営者や債務者等に対する刑事上の責任追及は、競売妨害罪、強制執行妨害罪、背任罪等で、376件、766名を捜査機関に告発(訴)しています。
当機構の責任解明委員会は、平成10年2月、破綻金融機関及び旧住専等の経営者、債務者等の民事、刑事上の責任の所在を明らかにし、損害賠償請求、刑事告発等の措置を行う目的で、当機構内に設置されました。現在、当機構理事長を委員長に、外部の有識者が特別顧問として任命されています。
同委員会は、これまで109回開催され、責任解明のための基本方針につき審議を行ったほか、個別の責任追及案件につき、損害賠償請求訴訟提起や刑事告発の可否を審議し、その結果に基づき当機構自ら又は整理回収機構が損害賠償請求訴訟の提起、刑事告発等所要の措置を講じ成果を上げています。