平成12年2月16日
預金保険機構
理事長談話
I.日本長期信用銀行(特別公的管理銀行)に対する特例資金援助(第2回)の件
1.当機構は、日本長期信用銀行より、平成12年2月10日付で資産の買取りおよび金銭の贈与による特例資金援助の申込みを受けた。
1) 金融再生法第72条に基づき特別公的管理銀行に対する特例
資金援助において、金銭の贈与が行われる初めてのケースであること。
2) 金銭の贈与(3兆2,391億円)およびその財源として充当される特例業務基金の取崩し
(3兆2,244億円)は、ともに既往最大であること。
3) 今回の「不適」資産の買取り(第2回)は3,048億円となり、平成11年8月に実施した同買取り(第1回)と合わせた7,168億円は、既往2番目の規模であること(これまでの 資産の買取額は、北海道拓殖銀行のケース <1兆6,166億円>が既往最大)。
2.当機構としては、平成12年2月15日に金融再生委員会および大蔵大臣により特別資金援助(ペイオフコスト<146億円>超の資金援助<預金保険法附則16条>)の前提となる必要性についての認定がなされたことを踏まえ、当該申込みの内容等を慎重に審査した上、本日、運営委員会を開催し、次のとおり特例資金援助を決定した。
平成12年2月10日付で日本長期信用銀行から申込みのあった特例資金援助について、次のとおり実行すること(平成12年2月28日を予定)。
但し、「資産の買取り」については、預金保険法附則第10条第1項に基づき当機構から整理回収機構に委託すること。
3.>なお、本日議決した特例資金援助等を含めると、当機構がこれまで処理した案件は合計70件になり、資金援助額の累計は、金銭の贈与が9兆4,653億円、資産の買取りが4兆2,955億円、債務の引受けが40億円、貸付けが80億円となる。
II.日本長期信用銀行(特別公的管理銀行)に対する損失の補てん等の件
1.当機構は、日本長期信用銀行より、平成12年2月10日付で、金融再生法第53条に基づく資産の買取り(同行保有株式の買取り)及び同法第62条に基づく損失の補てんの申込みを受けた。
2.当機構は、その申込みについて審査の上、平成12年2月15日付で、金融再生委員会の承認を得て、次のとおり、実行することを決定した。
(2月28日実行)
(3月1日実行)
(3月1日から90日以内に実行)
(3月1日から5年以内)
(平成12年1月末時点の評価額 482億円)
III.新生日本長期信用銀行のスタートに寄せて
1.平成12年3月1日に、当機構が、「株式売買契約書」に基づき、ニュー・LTCB・パートナーズ社に対して、保有する日本長期信用銀行普通株式を売却することをもって、開始決定以来約1年4ヶ月続いた日本長期信用銀行の特別公的管理が終了することとなる。
2.当機構としては、金融再生法施行以降、金融再生委員会の全面的な指導・監督の下、円滑な資金援助等を通じて預金者保護および信用秩序維持に資するべく、一連の破綻処理に取組んできた。そうした中で、とりわけ日本長期信用銀行の譲渡問題については、その帰趨が我が国金融システムの再生を占う上でも内外の注目を集めていただけに、今回いわゆる新生長銀としてのスタートを迎えるに至ったことは、我が国金融システムの信任向上に一層資するものと考えている。この間、多額の公的資金が費やされたことも事実である。
3.それだけに、新生長銀の役職員が一致協力して、同行が一日も早く我が国金融システムの中にしっかりと根をおろし、内外から信頼される力強い金融機関として見事に再生して、その実績を示されるよう強く期待している。