金融再生法第53条に基づく健全金融機関等からの資産の買取価格について

平成14年1月11日
預金保険機構

金融再生法第53条に基づく健全金融機関等からの資産の買取価格について


1.買取の対象債権(平成11年3月4日金融再生委員会告示第2号[改正 平成14年1月11日金融庁告示第2号]第2条)

1) 原則として、金融再生法第28条第3項に規定する基準に定める破綻懸念先、実質破綻先又は破綻先に区分される債務者に対する貸出金。
2) 1)の貸出金に係る債務者に係る仮払金、未収利息又は未収金等。

2.買取価格

(1)基本的な考え方

「改革先行プログラム」(平成13年10月26日)等を踏まえ、今般、金融再生法が改正されたことに伴い、不良債権処理の促進のため、価格算定方式の弾力化を図り、健全金融機関等からの不良債権の「時価」(合理的な方法により算出した価格)による買取を実施する。

(2)債権全体の買取価格

買取価格=個々の債権の価格の合計金額

(3)個々の債権の価格

債務者の状況から判断して一定期間のキャッシュフローからの弁済が見込まれる債権については、一般に時価を算出する際に行なわれている手法と同様に、将来期待されるキャッシュフローを予測し、その総額の内弁済充当相当額を一定の割引率を用いて現在価値に割り戻す手法(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法=以下「DCF法」という)により価格算定を行なう。


3.具体的価格算定方法

(1)基本的流れ

1) 債務者の現状分析
2) 想定シナリオの策定(破綻、一定期間経過後破綻、存続等)
3) 将来見込まれる一定期間のキャッシュフローからの弁済総額を算定
4) 割引率の設定(将来の回収等に係るリスク、資産管理、保有コスト等を勘案して設定)
5) 上記3)を割引率を用いて現在価値に換算
6) 買取価格の決定

(2) 担保処分による弁済充当が見込まれる債権

DCF法に基づく価格算定の過程で、想定シナリオ策定(上記②)後、担保処分による弁済充当が見込まれる債権については、当該担保処分による回収見込額を将来期待されるキャッシュフローの予測額と看なして取扱う。その際の担保処分による回収見込額を求めるに当っては、次のフォーミュラに基づくことも可能とする。



・担保処分による回収見込額=担保評価額―当該担保不動産に係る入居保証金・敷金等

―先順位抵当権等担保債権―優先差押債権請求額

・但し、担保設定額又は貸出金が担保処分による回収見込額を下回る場合には、当該担保設定額又は貸出金を担保処分による回収見込額とする。

・担保評価に関する原則的な考え方については別紙参照


(3)無剰余・無担保で回収見込額ゼロの債権

基本的にゼロ評価とするが、取引上売買価格を付すために、債権全体に価格が付かない1債務者に原則一律1,000円を付す。



4.その他

(1)買取基準日の考え方

1)    相対方式の場合

相対方式については原則年4回程度を設定予定。平成14年度以降の買取のスケジュール(基準日、買取実施日等)は決まり次第金融機関宛に連絡する。

なお、平成14年3月買取実施予定の買取価格算定にあたっては、平成14年2月末日を基準日と定め、基準日時点における貸付債権等の価格を算定するものとする。


但し、必要と認められる場合には金融機関からの個別相談にも応じるものとする。

2)    入札方式の場合

個別に金融機関と協議し決定する。


(2)買取費用(相対方式)

買取までに直接要した外注費、その他実費を別途請求する。

(3)事前相談について

再生案件を含め事前相談を希望する金融機関に対しては随時、整理回収機構・預金保険機構にて相談に応ずる。


以上



[ 別紙 ]

担保評価に関する原則的な考え方

(1)担保不動産

1) 担保不動産については外部鑑定等を用い次のような手順を経て担保評価額を算定する。


(ⅰ)

外部鑑定等により「正常価格」を算出。

(ⅱ)

必要に応じて行なう現地調査の結果等に基づき、担保物件の特性に応じて「正常価格」に原則掛目1~0.7程度を乗じて、早期売却価格を算定。

(ⅲ)

上記(ⅰ)(ⅱ)に織り込まれていない物件処分の阻害要因排除等が必要と見込まれる場合、原則10%程度の追加的減価を行なう。

(ⅳ)

物件処分のための費用(測量費用相当額等)の発生が見込まれる場合には、上記(ⅰ)~(ⅲ)によって算出された価格より差し引く。

2) 外部の鑑定評価の対象としない担保不動産(担保不動産の件数が多く時間的な制約を受ける、鑑定評価費用倒れの懸念がある場合等で、一定の基準以下の担保不動産を外部鑑定の対象外とすることがある)については、原則として持ち込み金融機関の評価額を基準に評価するものとする。


3) 競売申立済の担保不動産については、最低売却価格の決定がなされている場合には上記による担保評価額と比較して低い方の金額を評価額とする。また、既に無剰余通知がなされている場合には評価額をゼロとする。


(2)不動産以外の担保

不動産以外の担保の評価額は、時価のあるものについては、時価から処分のための費用を控除して計算し、時価のないものについては、処分により回収できる金額を合理的に見積もる。


以上



(照会先)

(株)整理回収機構 業務企画部 機能拡充業務統括室

〒164-0012 東京都中野区本町2-46-1中野坂上サンブライトツインビル6F

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