特定回収困難債権の買取対象となる具体例(参考)

令和元年10月1日

行為要件を根拠に買取る場合の具体的な事例
ガイドラインの行為要件 具体的な事例
3.(1)① 暴力的な要求行為
  • 債務者が、金融機関職員に対し、「競売すれば火をつける。」等の脅迫的な言動により、競売手続の停止を要求した事案。
  • 債務者が、金融機関職員に対し、「競売を続けたら殺す。」と脅迫し、競売手続の中断を要求した事案。
3.(1)② 法的な責任を超えた不当な要求行為
  • 債務者から依頼された者が、競売申立ての通告をなされているにもかかわらず、暴力団の名刺等を示し、執拗に債務の減額要求を行った事案。
  • 債務者が、金融機関との訴訟に関して、和解に応じなければマスコミ等を利用して金融機関を中傷する旨申し向けるなど、不当な和解要求を行った事案。
  • 金融機関による債権回収を妨害することを生業としている者(いわゆる「整理屋」)が介入し、
 ① 金融機関に対し返済を拒否するのみならず、時効完成による
  債務消滅を企図したり、金融機関による保証人への連絡を阻害
  するといった言動を繰り返す
 ② 金融機関に対し自らの介入を誇示したり、サービサーへの債
  権売却を勧め、返済を拒否する発言を繰り返す
 ことにより、金融機関による債権回収を断念させることを企図し
 た事案。
3.(1)③ 取引に関して、脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為
  • 債務者が、返済交渉に際して、金融機関職員に対し、日本刀をちらつかせたり、「自分の生活を守るためには、敵は殺す。」と発言したりするなど脅迫的な言動をした事案。
  • 債務者が、返済交渉に際して、反社会的勢力との関係を暗に示したうえ、大声を出して机を叩く、蹴り上げるなどの暴力を用いる行為を行った事案。
  • 債務者法人の代表者が、返済交渉に際して、「ふざけた事をしていたら首をとるぞ。」と脅迫的な言動をした事案。
  • 債務者法人の役員(取締役)が、返済交渉に際して、金融機関職員が保証人(代表取締役)宅を資産調査したことに因縁をつけ、「報復として担当者の自宅に毎日、若い者を連れて行く。」、「家族はいるのか。」等の脅迫的な言辞を弄した事案。
  • 金融機関職員が延滞解消できなければ債権譲渡もあり得る旨説明したところ、債務者が、暴力団の名刺を示したうえ、「債権譲渡なんてことになったら、何をするかわからねえぞ。」等の脅迫的な言動をした事案。
  • 保証人が、返済交渉に際し、本人名義の暴力団の名刺を金融機関職員に示し、後日、金融機関職員が「このままでは法的手段をとらざるを得ない。」旨説明をしたところ、「そのときには、ブルドーザーを持ってくる。」等の脅迫的な言動をした事案。
  • 金融機関職員が債務者に返済交渉のため架電したところ、債務者が、「誰から、ここにいると聞いた。言わんかい。」「一人で今すぐ近くの公園でも、ここでも来い。必ず一人で来い。」と脅迫的な言辞を弄した事案。
  • 債務者及び保証人が、金融機関の代理交渉に当たっていた顧問弁護士の事務所に現れ、大声で騒ぎ、いきなり携帯電話で事務所及び同弁護士を撮影した後、「このまま事件を担当していけばどうなるか、覚えておけ。」等との脅迫的な言辞を弄し、身の危険を感じた当該弁護士が代理交渉を辞退した事案。
  • 債務者は、返済交渉に際し、債権引受元の金融機関職員に対し、応接室内で、机・椅子を蹴る、物を投げる、大声を出す等、 暴力的な言動を行うとともに、担保不動産の先順位設定者が競売を申し立てたことに関し、「先順位設定者の事務所で、机や椅子を荒らした。」と威迫的な言動をした事案。
  • 債務者は、返済交渉に際し、保証子会社の顧問弁護士に対し、「金融機関はやくざみたいなもんや。俺は●●組(暴力団)の●●も知っているし、●●組(暴力団)の●●も知っている。」と暴力団の名称を示して暴力団員等との関係性を示した事案。
  • 債務者法人の代表者は、返済交渉に際し、金融機関職員に対し、「(立場が)上の者から電話をさせろ、その時にお前の不逞を晒し、金融機関で働けなくしてやる」と発言した他、50分間罵声を浴びせる等、脅迫的な言動を繰り返した事案。
  • 保証人は、返済交渉に際し、債権回収会社の職員に対し、「俺は(金融機関の)上の人間を知っているからお前のことを話してやる。」「覚悟しとけ、クビだからな。」と発言した他、「お前の名前は●●●●だろ。この前聞いた名前をしっかり覚えているからな。」と脅迫的な言動をした事案。
3.(1)④ 風説を流布し、偽計を用い又は威力を用いて当該金融機関の信用を棄損し、又は当該金融機関の業務を妨害する行為
  • 債務者が、社会運動標榜ゴロ等を利用して、金融機関に対し、根拠のない誹謗中傷を行うこと等により、日常業務を妨害した事案。
  • 債務者が、金融機関の賃料差押えを妨害するため、元暴力団組員との仮装の金銭消費貸借契約証書を公証人に提出のうえ、元組員に建物の賃料債権を譲渡したように装い、賃料を同人の口座に振り込ませて隠匿した事案。
  • 債務者が、金融機関の担保物件差押えを妨害するため、債務者法人関係者間で建物内の動産について譲渡担保設定したことを仮装した事案。
  • 債務者法人の前代表取締役が、同法人の取引停止処分があった後、金融機関の競売等を妨害するため、同金融機関の根抵当権設定時に担保物件上に存在していなかった車庫を当時から存在していたとして虚偽の登記をした事案。
3.(1)⑤ その他上記①から④に準ずる行為
  • 元暴力団幹部が代表者である債務者法人の担保物件を、暴力団が組事務所として占有のうえ、隣室との間の壁を壊す等の改造を行い、競売を妨害した事案。
  • 債務者法人の代表者が自社の株式を反社会的勢力と繋がりがある者に譲渡したことにより、同法人が反社会的勢力に乗っ取られ、同人らが、同法人の経費支払いを停止し、担保不動産の賃料収入等の売り上げを流失させた事案。
  • 債務者法人が、担保物件の一部を暴力団組長に賃貸し、同人に暴力団事務所として使用させて、競売の妨害を図った事案。
  • 債務者が、金融機関に無断で暴力団員に対して担保物件を売却し、同暴力団員が担保物件の所有者となり、競売が困難になった事案。(当該担保物件は暴力団事務所として使用されている)

※行為要件該当性の判断に当たっては、行為の外形が「具体的な事例」と同様であったとしても、その事実のみをもって該当性があると判断するものではなく、債務者等の属性や活動実態、行為の反復性等を加味し、総合的に判断します。

ページトップへ戻る