預金等全額保護制度下における破綻処理(資金援助)の終了等について

平成15年3月6日
預金保険機構

理事長談話
預金等全額保護制度下における破綻処理(資金援助)の終了等について

預金保険機構(以下「当機構」)は、昨日の運営委員会において、石川銀行(破綻銀行)に係る資金援助の決定を行ったが、この決定は、平成8年10月以降の預金等全額保護制度(以下「全額保護」)下における最後の資金援助決定となった。その結果、当機構が抱える破綻金融機関の未処理案件(運営委員会での審議未了のもの)はゼロとなった。
当機構としては、これら6年度にわたる全額保護下の大量(169件)破綻処理が完了したことについて、預金保険制度の運用主体として預金者保護等の使命を果たし得たと思う。この間の金融庁、財務省、日銀をはじめとする関係者のご指導・ご協力に深く感謝したい。
当機構にとって、大きな節目を迎えたこの機会に、全額保護下の破綻処理の実績(概要)を報告し、当面の課題についても触れることとしたい。

1. 全額保護下の破綻処理(資金援助)の概要
(1) 資金援助の累計額について
全額保護下の資金援助案件(運営委員会ベース、概数使用)は、平成8年10月28日決定の山陽信組及びけんみん大和信組に係る資金援助決定からスタートし、今回の石川銀行の資金援助決定をもって全ての処理を終了した。
この間の処理累計は次のとおり。
資金援助案件        169件(援助対象金融機関数では168金融機関)

資金援助の内容
うち金銭贈与        約17.9兆円
うち資産買取        約    6.4兆円
うち債務引受        約40.0億円

ちなみに、全額保護以前の期間を含め、当機構が現在までに行った資金援助の総数は平成4年3月決定の第1号案件(東邦相互銀行)以降、累計で180件であり、金銭贈与は約18.7兆円、資産買取は約6.4兆円となる。

(注) 「金銭贈与」とは、預金者等を保護するため、預金保険法第64条及び附則第16条に基づいて破綻金融機関の営業を引き継ぐ救済金融機関に交付されるものである。他方、「資産買取」は破綻金融機関の保有する資産の一部を当機構が買取るもので、預金保険法附則第10条第1項第1号等に基づき、当機構が整理回収機構に買取りと回収等を委託し、その買取り代金について当機構より整理回収機構に対して貸付等を行うものである。
(2) 年度別動向について
年度別では、処理件数が平成10年度以降2桁台となり、特に13年度(37件)、14年度(51件)に急増。金銭贈与額では、9年度を除き、いずれも1兆円を上回り、とりわけ11年度(4.6兆円)、
12年度(5.2兆円)は大型破綻に伴い高水準。
(尚、破綻発生件数は13年度の56件が11年度の44件を上回って既往最高。)
(3) 個別行等の金銭贈与額について
個別の破綻金融機関別では、
1)    日本長期信用銀行        約3.2兆円
2)    日本債券信用銀行        約3.1兆円
3)    北海道拓殖銀行             約1.8兆円
4)    木津信用組合                約1.0兆円
の金銭贈与が目立つ。(この4先の合計は約9.1兆円で全体の51%)
(4) 金銭贈与の業態別の特徴について
    1)    件数では、信金が25件(全体の15%)、信組が127件(全体の77%)、
計152件(全体の92%)。その金銭贈与額は6.1兆円(全体の34%)。
2)    銀行は14件(全体の8%)、その金銭贈与額は11.8兆円(全体の66%)。
(5) 金銭贈与の財源等について

金銭贈与累計額    約17.9兆円
1)    保険料収入等    約3.2兆円
2)    交付国債            約9.9兆円
3)    借入金                約4.8兆円
(注1)3) の借入金は将来の保険料収入が返済財源となる。
(注2)この数値は、いずれも見込みによる概算値である。
(6) 承継銀行の活用
石川銀行(13年12月28日破綻)及び中部銀行(14年3月8日破綻)については、ともに全額保護期限の14年3月末までに救済金融機関を決定することが困難との見通しとなったことから、当機構は、子会社として同年3月11日に日本承継銀行を設立し、同行を救済金融機関として活用しつつ、全額保護の下で最終受皿金融機関に再譲渡するスキーム(ワンタッチ再承継)をとった。
(7) 破綻金融機関の旧経営者等に対する預保グループ(預保及びRCC)による責任追及について
1)    民事上の責任追及
提訴・訴訟承継等の件数    95件、        訴追等対象者    延402人
請求金額    約1,000億円
2)    刑事上の責任追及
告訴・告発件数    28件、        告訴等対象者    延90人
(うち、当機構単独告発分15件は、金融整理管財人としての告発等を含む)
(8) 回収実績等について
1)    破綻金融機関からの買取資産中の貸出債権の回収率は68%(14年12月末)
2)    「預保の財産調査権」による隠匿資産の発見額は5,000億円超

2.当面の課題
全額保護スキームによる金融機関の破綻処理は終了したが、当機構に課せられた課題は多い。
その中で、当面重点的に取組むべき事項は次のとおりである。

(1) 預金保険制度の運用主体として、昨年4月以降実施中のペイオフ解禁(一部定額保護制導入)下における万一の破綻処理に備え、同スキーム下の円滑・適正な運用の実現に向けた体制の整備。
特に、検査部門の抜本的拡充をはじめとする体制・要員の強化は喫緊の課題。
(2) 産業再生機構関係等の新業務への取組みと体制強化の検討。
(3) 当機構がRCCに委託し、RCCを指導・支援し連携して行う破綻金融機関及び健全行からの不良債権の買取り及び回収(企業再生等を含む)への取組みの一層の推進。
(4) その他

以上

[問合せ先]    預金保険機構
預金保険部    (資金援助関係)
TEL03-3212-6185
特別業務部    (責任追及関係)
TEL03-3212-6050

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