預金保険機構業務方針 (対象期間:平成28年4月~平成29年3月)

平成28年4月1日
平成29年2月28日改定

Ⅰ 預金保険制度を取り巻く環境と課題

預金保険機構(以下「機構」という。)は、金融機関業務の多様化等を踏まえ、金融機関の破綻処理スキームに係る諸課題の整理・検討を行い、破綻処理への対応力強化を図る。

また、機構を巡る環境変化への対応として、第一に、近年のサイバー攻撃の増加等からセキュリティレベルの一層の向上が求められる中、反社会的勢力に係るデータベース・照会システムの構築、破綻処理業務システムの更改等の重要なシステム開発を適切かつ効率的に進めていく必要があり、そのための開発体制の整備を図る。第二に、金融機関の預金保険制度及び破綻処理制度に係る国際的な議論の進展を踏まえ、海外関係機関との連携強化に努める。

Ⅱ 平成28年度業務方針

以上を踏まえ、業務を進めていくに当たっての指針として、以下の通り平成28年度を対象とした業務方針を定める。

1.預金者保護等の観点に立ったあらゆる事態に対応した金融機関の破綻処理態勢の整備・強化

破綻処理スキームと金融整理管財人業務の一層の改善のために、実務訓練の実施等により把握した諸課題の検討等を踏まえつつ、破綻処理に係る実務の見直しを行うなど機構の対応力の維持、強化を図る。

また、関係当局や金融関係団体等との連携を更に深めるとともに、実務訓練・研修・検討会等を充実・強化するなど、機構における金融整理管財人業務の質的向上を図り、破綻発生時に付保預金の払戻しや決済業務等を適切に行うことができる態勢を整える。

確実かつ円滑な破綻処理を実行するため、平時より必要となる措置について、金融機関に対する情報発信を充実する。

また、関係当局と連携し、「立入検査」「改善ヒアリング」「システム検証」「研修・助言等」を通じて金融機関において適切な対応が実施されるよう働きかけを行うとともに、金融機関の対応状況についてもフォローを行う。

なお、立入検査においては、機構の実施する各施策を通じて確認した事項のほか、金融機関の採用している勘定系システム等の状況も踏まえ、立入検査先の選定や立入検査における検証範囲・検証深度にメリハリをつける。こうしたことにより、検査の実効性・効率性を向上させ、「破綻時における円滑な業務の継続」に実践的に結び付く検査を実施する。

破綻処理を確実かつ迅速に行うため、金融実務の実情や変化を踏まえ、引き続き制度の運用に係る諸課題の整理・検討を行うとともに、関係者との意見交換等を実施し、実務の見直しや態勢の整備・拡充を図る。

確実かつ迅速な破綻処理を実行する観点から破綻処理業務システムについて、更改対応を進め、システムの改善を図る。

2.破綻金融機関等から取得した資産の適切な管理・回収、処分及び責任追及等

破綻金融機関等から取得した債権については、顧客保護の観点も踏まえつつ、適切な管理・回収を実施するよう、整理回収機構に対して必要な指導・助言を行う。

また、破綻金融機関等から買い取った株式については、国民負担の最小化の観点、市場への影響等を踏まえつつ、適切に管理・処分を行う。

整理回収機構が行う整理回収業務を支援するため、返済を拒み資産情報の開示にも応じない不誠実な債務者や反社会的勢力等が関与するなど悪質な案件に重点を置き、調査案件の的確な選定及び深度ある財産調査並びに回収に関する指導・助言を適切に実施する。

また、反社会的勢力等が関与するものを含め悪質な回収妨害案件に対しては、同機構とより緊密な連携を図り、必要な支援を行いつつ、厳正に対応する。

破綻金融機関等に係る徹底した調査を実施して破綻に至る経緯等の解明に努め、刑事・民事上の責任追及業務を適切に実施する。加えて、破綻処理時に即応できる態勢の整備及び調査手法の向上に努める。

日本振興清算株式会社の運営について、残存する資産・負債の整理が順調に行われているか、経費支出が厳格に行われているかを確認し、最終弁済・清算結了に向けて適切な管理に努める。

また、同社に対する金銭贈与の増減を適切に実施する。

3.金融機関等の資産及び負債の秩序ある処理に関する措置への対応

平成26年3月に施行された改正預金保険法において導入された金融システムの安定を図るための金融機関等の資産及び負債の秩序ある処理に関する措置について、引き続き関係当局等と連携しつつ、対応力の強化を図る。

4.資本増強関連業務への対応

金融機能強化法に基づく資本参加(申請期限、平成29年3月31日)については、金融機関等から申請があれば、関係当局と連携して適切に対応する。

早期健全化法や金融機能強化法等に基づき引受け等を行った優先株式等の管理を適切に行い、「資本増強のために引受け等を行った優先株式等の処分に係る当面の対応について」(平成17年10月公表)に基づき適切かつ円滑な対応を行う。

5.特定回収困難債権の買取・回収業務の適切な実施

特定回収困難債権の買取・回収業務については、金融庁や関係団体と連携しつつ、必要に応じて特定回収困難債権買取制度運用の改善を図り、当該制度をより積極的に活用するよう金融機関を促しながら、業務を着実に実施する。

6.反社会的勢力に係るデータベース・照会システムの構築

金融機関からの照会に応じて反社会的勢力に係る情報を提供するとともに、当該情報を収集・保管するための仕組みの構築を進める。

7.振り込め詐欺等被害者救済手続に係る公告業務等の適切な実施

振込利用犯罪行為の被害者の財産的被害の迅速な回復に資するため、関係省庁や関係機関・団体と連携しつつ、適切かつ円滑な公告を実施するとともに、預保納付金の適切な支出に努める。

金融機関の被害回復分配金の支払における業務運営の適正性を確保する観点から、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律第36条第6項に基づく検査を実施する。

8.休眠預金等管理業務の適切な実施に向けた準備

休眠預金等活用法が公布(平成28年12月)され、機構において休眠預金等管理業務を行うこととされたことから、当該業務の適切な実施に向けた準備を行う。

 

9.国際預金保険協会(IADI)の活動への積極的な参画

国際預金保険協会(IADI)の活動を通じ、預金保険制度・破綻処理制度に関する最新の国際動向の把握に努め、機構の業務に活かす。

また、IADI主催の活動に積極的に参画することにより、我が国の預金保険制度・破綻処理制度に関する国際的な認知度向上に努める。特に、アジア・太平洋地域に存する機関との相互理解を深め、域内の協力・連携強化を推進する。

10.海外預金保険機関等との連携

海外預金保険機関をはじめとする関係機関との連携・協力を更に推進するために、機構主催の国際会議を開催することにより海外預金保険機関との往来を拡大する。

また、情報交換・技術協力等の相互強化を目指した協力書簡の交換(EOL)や覚書(MOU)の署名等により各国預金保険機関との関係をより強化するとともに、これら機関との人事交流を行い相互の制度の理解を深める。

さらに、預金保険制度の新規導入・強化を検討している諸外国に対する技術支援を継続しつつ、特にアジア域内の諸国との協調の枠組みを構築する。

11.預金保険制度に関連したグローバルな改革状況を踏まえた調査研究活動

各国・地域の預金保険制度や破綻処理制度の改革の動向や国際機関による国際協調に向けた取り組み状況など機構の業務に関連する事項について調査研究を行い、各界の関係者等にその成果を提供する。

12.関係会社との連携・協調

整理回収機構の業務が適切に実施されるよう、必要な指導・助言を行う。また、整理回収機構のサービサー機能を活用した反社債権の回収業務についても、引き続き、連携・協調を図っていく。

地域経済活性化支援機構及び東日本大震災事業者再生支援機構の業務の適正かつ効率的な実施に協力する。

関係会社に対する株主議決権の行使に際しては、法令等の目的に沿った業務運営が行われているかなどの点に留意しつつ、関係当局と連携しつつ適切に行使する。

13.預金者及び国内外の関係者に対する情報発信の充実

預金保険制度及び機構の役割や業務について、預金者等の理解をより一層深めるため、各種媒体を活用し、預金者等の目線に立った分かりやすい広報の実施に努める。また、金融機関等と可能な限り双方向の情報交換ができる環境整備に努める。

日本の預金保険制度及び機構の活動について広く国外の関係者に情報発信するため、引き続き「預金保険機構年報」の英語版を作成するとともに、機構ホームページの英語版において、掲載事項の充実を図る。また、在京の大使館及び中央銀行の駐在員等向けに意見交換会を実施し、海外向けの広報活動を促進する。

14.財務の健全化・効率化の確実な推進及び財務状況の情報開示

機構の財務の健全化や財務に関する業務の合理化に取り組みつつ、金融機関破綻処理等に対応できる予算作成・執行管理を行う。また、財務状況の分かりやすい情報開示を行う。

機構の財務の状況を踏まえ、長期的に機構の財政(一般勘定)が均衡するよう適切な保険料率を定める。

資金運用は、厳しい運用環境の下、引き続き安全性・流動性を重視した運用に努める。資金調達は、資金需要を踏まえた効率的な調達に取り組む。この間、資金運用・調達について引き続き市場関係者との適切なコミュニケーションを図る。

15.コンプライアンス態勢等の強化

コンプライアンスや事務リスク等の管理のために必要な措置に対する理解を深め、より適切な行動が定着するよう一層努力する。コンプライアンス総括部門(法務統括室)における日頃の相談対応のほか、職員全体を対象とする研修会を実施した上、各部のコンプライアンス責任者を介し、各部においても研修を実施するように努める。

近年、特に巧妙化・複雑化するサイバー攻撃の脅威への対応等、引き続き情報セキュリティ強化の推進に努める。また、情報セキュリティに関する役職員の意識向上を図るため、各種研修等において周知・徹底を図る。

16. 地震等災害発生時に優先的に実施する業務を継続するための体制(BCP体制)整備

金融機関の破綻処理中に災害が発生した場合において、破綻処理に係る業務を円滑に行うための業務継続体制の確立に努める。

また、災害発生を想定した役職員に対する安否確認のための訓練等を行うほか、当該訓練等の実効性について検証を行う。

財務部において、災害時に優先的に継続しなければならない決済事務等が適切に遂行できるよう、引き続き関係部署及び関係機関と連携して業務継続訓練等を実施し、強固な業務継続体制を構築する。

17.組織体制等の的確かつ効率的な運営

以上のような業務方針及び環境変化に対応して、引き続き組織・人員・システム体制の的確かつ効率的な運営に努める。

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