預金保険機構業務方針 (対象期間:平成26年4月~平成27年3月)

平成26年4月1日
1. 預金者保護等の観点に立ったあらゆる事態に対応した金融機関の破綻処理態勢の整備・強化
  破綻処理スキームと金融整理管財人業務の一層の改善のために、実務訓練の実施等により把握した諸課題の検討を更に進め、預金保険機構(以下「機構」という。)の対応力の維持、強化を図る。
また、関係当局や金融関係団体等との連携を更に深めるとともに、実務訓練・研修・検討会等を充実・強化し、金融整理管財人団の質的向上を図るほか、必要な情報の分析・管理に努める。
上記等を踏まえ、金曜日に金融機関の破綻が発生し、機構が金融整理管財人に選任された場合、翌月曜日から営業を円滑かつ確実に再開できる(いわゆる金月処理の実現)よう努める。
その他、平成25年6月に成立した改正預金保険法において機構の業務として追加された倒産法上の管財人等業務について、所要の検討を進める。
  預金保険法に規定する保険事故への対処に関する整備状況等(注1)の検証を立入検査の中心に据え、関係当局及び機構内関係部署との連携や金融機関との意見交換を十分に行いながら、「破綻時における円滑な業務の継続」に実践的に結び付く検査を実施する。
なお、上記の実施にあたっては、「立入検査」に加え、「改善ヒアリング」(注2)「システム検証」(注3)「研修・助言等」(注4)の各施策の実施状況を包括的に管理・分析し、その結果を検証内容等の再検討や次回実施計画の策定において活用することにより、検査の実効性及び効率性を向上させる。
また、預金口座名寄せデータ整備については、立入検査の際に平時の対応状況がどのような水準にあるかを被検査金融機関に伝達し、これらを通じて、金融機関における名寄せデータ及びシステムの適切な維持管理を促していく。
    (注1) 預金保険法に規定する保険事故への対処に関する整備状況とは、預金口座名寄せのためのデータの整備、付保預金と非付保預金の区分管理、預金等の変動データ(入出金明細ファイル)作成のためのシステム整備等、相殺・預金等債権の買取り(概算払)の準備(手順書・マニュアルの整備等)の状況等のことをいう。
    (注2) 「改善ヒアリング」とは、金融庁又は財務局等が金融機関に対し、銀行法第24条等に基づき、機構が実施した検査の指摘事項に係る改善状況の報告を求め、ヒアリングを実施することをいうが、機構としてもこれに同席して、実効性のある改善が可能となるよう助言等を行っている。
    (注3) 「システム検証」とは、金融機関に預金者データの提出を求め、名寄せを行ううえでのデータ整備が適正に行われているかについて、機構のシステムにより検証することをいう。
    (注4) 「研修・助言等」とは、名寄せデータ、手順書・マニュアル及びシステムの整備を推進するために、個別金融機関からの要請に基づいて機構職員を派遣し、個別金融機関の状況に応じた研修・助言等を行うことのほか、例えば業態等を単位として共通の事柄を周知するために開催する集合研修などのことをいう。
  預金保険制度の円滑な運営を確保する観点から破綻処理のスキームや実務等について必要な事項を検討する。
名寄せの迅速化など破綻処理業務の円滑化等を一層推進するため、各種破綻処理方式における業務処理体制について、関係者間で横断的に効率化及び整備・拡充を進めるとともに、運用訓練等を通じて実際の運用力の更なる向上を図る。特に、名寄せ及び金融整理管財人業務等に用いる破綻処理業務システムについて、確実・円滑な業務処理の実現に向けて機構横断的にその運用体制の整備を進め、効率的かつ順調な稼働を維持するとともに、現行システムの保守期限到来に伴う更改対応を進め、システムの改善を図る。
金融機関におけるシステム整備等の体制整備を促進するため、金融機関に対する情報発信を充実するとともに、システム検証や研修を通じて対応状況のフォロー及び働きかけに努め、関係各部協力し、各金融機関に対し必要な助言を行う。
 
2. 破綻金融機関等から取得した資産の適切な管理・回収、処分及び責任追及等
破綻金融機関等から取得した債権については、顧客保護の観点も踏まえつつ、適切な管理・回収を実施する。
また、破綻金融機関等から買い取った株式については、国民負担の最小化の観点、市場への影響及び処理期間の目途等も踏まえつつ、適切かつ効率的に管理・処分を行う。
整理回収機構が行う整理回収業務を支援するため、反社会的勢力など悪質な債務者に重点を置いた、調査案件の的確な選定及び深度ある財産調査並びに指導・助言を適切に実施するとともに、反社会的勢力等が関与する回収妨害案件に対する厳正な対応を支援するため、同機構とより一層の連携を図っていく。
破綻金融機関に係る徹底した調査を実施して破綻に至る経緯等の解明に努め、刑事・民事上の責任追及業務を適切に実施する。加えて、破綻処理時に即応できる態勢の整備及び調査手法の向上に努める。
日本振興清算株式会社の運営について、最終弁済・清算結了に向けて、残存する資産・負債の整理が順調に行われているか、経費支出が厳格に行われているかを確認し、適切な管理に努める。
また、清算結了に向けて、清算法人に対する金銭贈与の増減を適切に実施する。
 
 
3. 金融機関等の資産及び負債の秩序ある処理に関する措置への対応
  平成25年6月に成立した改正預金保険法において、金融システムの安定を図るための金融機関等の資産及び負債の秩序ある処理に関する措置が導入され、機構は市場型金融危機対応の執行において重要な役割が与えられたことから、関係当局等と連携しつつ態勢整備を進め、対応力の強化を図る。
 
4. 資本増強関連業務への対応
金融機能強化法に基づく資本増強業務(申請期限、平成29年3月31日)については、東日本大震災に関する同法の改正による特例も含め、申請金融機関、関係当局との間で適切に対応する。
早期健全化法や金融機能強化法等に基づき引き受けを行った優先株式等の管理を適切に行い、「資本増強のために引受け等を行った優先株式等の処分に係る当面の対応について」(平成17年10月公表)に基づき円滑な処分に努める。
 
5. 特定回収困難債権の買取・回収業務の適切な実施
特定回収困難債権の買取・回収業務については、民間金融機関をはじめ関係者の協力を得ながら、着実に業務を実施する。また、買取対象債権の特定回収困難債権への該当性や買取価格について、買取審査委員会から意見を聴くなど、適正な手続を経る。
さらに、金融庁などの関係当局や全国銀行協会等と連携しつつ、制度の改善を図るとともに、各地の銀行警察連絡協議会への参加等を通じて本制度の浸透を図ることにより、より積極的な本制度の活用を促していく。
 
6. 振り込め詐欺等被害者救済手続に係る公告業務等の適切な実施
振り込め詐欺等被害者の救済に貢献する観点から、円滑に公告事務を行う。
預保納付金の支出に際しては、関係省庁と連携しつつ、事業の担い手団体との協議を行い、犯罪被害者等の支援の充実のための具体的使途として主務省令で定められた奨学金事業及び団体助成事業の適切な実施が確保されるよう努める。
 
7. 国際預金保険協会(IADI)の活動への積極的な参画
国際預金保険協会(IADI)は、「実効的な預金保険制度に関するコアとなる諸原則」を策定し、国際基準設置機関として認知されるなど、その活動は国際的に認められてきており、その地位は向上してきている。これを踏まえ、IADIの活動を通じ、預金保険制度・破綻処理制度に関する最新の国際動向の把握に努め、機構の業務に活かす。
また、IADI主催の活動に積極的に参画することにより、我が国の預金保険制度・破綻処理制度に関する国際的な認知度向上に努め、相互理解を深めることにより多国間での協調の枠組みを構築する。
 
8. 海外預金保険機関等との連携
海外預金保険機関をはじめとする関係機関との連携・協力を更に推進するために、機構主催の国際会議を開催することにより海外預金保険機関との往来を拡大する。
また、情報交換・技術支援等の相互強化を目指した協力書簡の交換(EOL)や覚書の締結(MOU)等により各国預金保険機関との関係をより強化するとともに、これら機関との人事交流を行い相互の制度の理解を深める。
さらに、預金保険制度の新規導入・強化を検討している諸外国に対する技術支援を継続しつつ、特にアジア域内の諸国との協調の枠組みを構築する。
 
9. 預金保険制度に関連したグローバルな改革状況を踏まえた調査研究活動
各国・地域の預金保険制度や破綻処理制度の改革の動向や国際機関による国際協調に向けた取り組み状況など機構の業務に関連する事項について調査研究を行い、各界の関係者等にその成果を提供する。
 
10. 関係会社との連携・協調
整理回収機構の業務が適切に実施されるよう、必要な指導・助言を行う。さらに、平成25年12月に金融庁が反社会的勢力との関係遮断に向けた取組みの推進策として、整理回収機構のサービサー機能の活用を公表したことを踏まえ、整理回収機構との一層の連携・協調を図っていく。
地域経済活性化支援機構及び東日本大震災事業者再生支援機構の業務の適正かつ効率的な実施に協力する。
 
11. 預金者及び国内外の関係者に対する情報発信の充実
預金保険制度及び機構の役割や業務について、預金者や金融機関等の理解をより一層深めるため、各種媒体を活用し、預金者等の目線に立った分かりやすい広報の実施に努める。また、金融機関等と可能な限り双方向の情報交換ができる環境整備に努める。
日本の預金保険制度及び機構の活動について広く国外の関係者に情報発信するため、引き続き「預金保険機構年報」の英語版を作成するとともに、機構ホームページの英語版において、掲載事項の充実を図る。また、在京の大使館及び中央銀行の駐在員と定期的な意見交換会を実施(年2回)する。
 
12. 財務の健全化・効率化の着実な推進及び財務状況の情報開示
機構の財務の健全化や財務に関する業務の合理化に取り組みつつ、金融機関破綻処理等に対応できる予算作成・執行管理を目指す。また、財務状況の分かりやすい情報開示を行う。
機構の財務の状況を踏まえ、長期的に機構の財政(一般勘定)が均衡するよう適切な保険料率を定める。
金融情勢を踏まえつつ、資金運用については安全性・流動性を重視した効率的運用に努めるとともに、資金調達については資金需要を的確に把握したうえで財務の健全性・効率性に資する安定的な調達に取り組む。また、資金運用・調達に関する分かりやすい情報提供を推進する。
 
13. コンプライアンス態勢等の強化
コンプライアンスや事務リスク等の管理のために必要な態勢をより一層強化する。特に、巧妙化・複雑化するサイバー攻撃の脅威に対応するため、情報セキュリティ対策の更なる充実を図る。これらについて、役職員の意識向上のため、年2回以上、各種研修等において周知・徹底を図ることとする。
 
14. 組織体制等の的確かつ効率的な運営
以上のような業務方針及び環境変化に対応して、組織・人員・システム体制の的確かつ効率的な運営に努める。

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