(2)預金保険機構の組織と業務

イ. 組織

預金保険機構は、昭和46年7月、政府、日本銀行及び民間金融機関の出資により設立されました。その後の法改正、とりわけ平成8年以降の厳しい金融情勢に対応するための数次にわたる改正により、その業務内容及び組織は大幅に拡充されました。

もっとも、その後、時限的に採られた預金等の全額保護の措置が終了(平成17年3月末)したこともあり、業務内容や組織はスリム化の方向で見直されています。

預金保険機構では、預金保険制度の運営に関する重要な事項は、運営委員会の議決により決定されます。運営委員会は、金融に関して専門的な知識と経験を有する委員(8名以内)と、預金保険機構の理事長(運営委員会委員長)及び理事(4名以内)により構成されます。

預金保険機構は、平成22年4月1日現在、7部2室(役職員定員は364名)の組織となっています。司法、行政の各省庁、日本銀行、金融界などからも多数の人材を受け入れ、「横断的な専門家集団」としての色彩をもっています。

なお、預金保険制度以外にも預貯金者や保険契約者などを保護する制度(セーフティーネット)があり、以下の主体がその運営を担っています。

運営主体 対象(加入)機関
農水産業協同組合貯金保険機構 農林中央金庫、農業協同組合、漁業協同組合等
日本投資者保護基金 証券会社
生命保険契約者保護機構 生命保険会社
損害保険契約者保護機構 損害保険会社

ロ. 業務

預金保険機構の業務は、大きく次の4つに分けられます。

[預金保険機構の主な業務]
業務 内容
  1. 破綻時の円滑な処理に向けた日頃からの取組み
  • 保険料の収納
  • 名寄せデータ整備(立入検査、システム検証、指導・助言)
  1. 金融機関破綻時の処理
  • 保険金及び仮払金の支払(定額保護)
  • 救済金融機関等に対する資金援助(定額保護)
  • 金融整理管財人等に関する業務
  • 承継銀行の経営管理に関する業務
  • 預金等債権の買取り
  • 金融危機対応措置としての預金等の全額保護や特別危機管理
  1. 破綻処理後の回収業務と責任追及
  • 回収業務を担う整理回収機構に対する指導・助言
  • 悪質な債務者に係る財産調査
  • 破綻金融機関の旧経営者等の民事・刑事上の責任追及
  1. 健全金融機関等に対する資本増強
  • 金融危機対応措置としての資本増強
  • 金融機能の強化を目的として行う資本増強(注)
(注) 現在、金融機関の資本増強には、預金保険法(預金保険制度)に基づくもの以外に、平成20年12月に改正された金融機能強化法に基づくものがあります。

このほか、預金保険機構は、平成20年7月以降、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(振り込め詐欺救済法)に基づいて、被害回復分配金の支払手続等に係る公告業務を行っています。

ハ. 子会社

預金保険機構は、全額出資子会社として、平成11年4月に(株)整理回収機構(「整理回収機構の概要」参照)を設立しています。また、平成21年10月には、子会社として、(株)企業再生支援機構(平成25年3月に(株)地域経済活性化支援機構に改組)を、平成24年2月には(株)東日本大震災事業者再生支援機構を設立しています。

[預金保険機構の子会社]
会社名 業務内容
整理回収機構
  • 預金保険機構から委託を受けた破綻金融機関からの不良債権の買取り、同債権の回収等、及び金融機関等の資本増強に関する業務、特定回収困難債権の買取り、回収、承継銀行業務等。
地域経済活性化支援機構
  • 有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている事業者などに対して金融機関等が有する債権の買取り等。
  • 各ファンド(事業再生、地域活性化)の運営会社の設立及び運営等。
東日本大震災事業者再生支援機構
  • 被災地域において事業の再生を図ろうとする事業者に対して金融機関等が有する債権の買取り等。

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