(4)保護される預金等の範囲

イ. 保護される預金等の種類

預金保険による保護の対象となる預金等は、預金、定期積金、掛金、元本補てん契約のある金銭信託、金融債(保護預り専用商品に限る)です。

ただし、外貨預金、譲渡性預金、特別国際金融取引勘定において経理された預金(オフショア預金)、日本銀行からの預金等(国庫金を除く)、対象金融機関からの預金等(確定拠出年金の積立金の運用に係る預金等(注)を除く)、募集債である金融債及び保護預り契約が終了した金融債、受益権が社債、株式等振替法の対象である貸付信託又は受益証券発行信託、無記名預金等は対象から除かれます。

また、他人(仮設人を含む)名義の預金等(いわゆる仮名・借名預金等)及び導入預金等も、保護の対象外です。

(注)

確定拠出年金の積立金のうち、預金保険による保護の対象となる預金等で運用されているものは、保護の対象となります。確定拠出年金の運用に係る預金等は、預金者である信託銀行等の資産管理機関等の預金等としてではなく、積立てを行っている個人の預金等として保護されます(積立てを行っている個人自身が預金者である預金等が別途ある場合には、そちらが優先的に保護されます)。また、他人(仮設人を含む)名義の預金等(いわゆる仮名・借名預金等)及び導入預金等も、保護の対象外です。

ただし、当該預金等の保険金は、積立てを行っている個人に対してではなく、預金者である資産管理会社等に対して支払われます。資産管理会社等においては、積立てを行っている個人の積立金として取り扱うことになります。

なお、財形貯蓄は、預金、投資信託、国債、金融債等の多様な金融商品を利用したものですが、その中で預金保険による保護の対象となる預金等を用いているものは、その預金等の範囲内で保護の対象となります。

ロ. 保護される預金等の額

預金保険で保護される預金等の額は、預金保険による保護の対象となる預金等のうち、決済用預金(無利息、要求払い、決済サービスを提供できること、という3要件を満たす預金)は全額、それ以外の預金等(「一般預金等」といいます)は1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等です(このように予め決められた範囲内で実際に保護される預金等を「付保預金」といいます。「2. 名寄せによる付保預金の特定と金融機関によるデータ整備」以降を参照)。

一般預金等のうち元本1,000万円を超える部分及び預金保険の対象外である預金等並びにこれらの利息等は、破綻金融機関の財産の状況に応じて支払われるため、一部カットされることがあります。

[保護される預金等の範囲]
預金等の種類 保護される預金等の額
預金保険による保護の対象となる預金等 決済用預金 当座預金、無利息型普通預金等 全額保護
一般預金等 有利息型普通預金、定期預金、通知預金、貯蓄預金、納税準備預金、定期積金、掛金、元本補てん契約のある金銭信託、金融債(保護預り専用商品に限る)等 合算して元本1,000万円(注1)までと破綻日までの利息等(注2)を保護
1,000万円を超える部分は、破綻金融機関の財産の状況に応じて支払われます(一部カットされることがあります)
預金保険の対象外の預金等 外貨預金、譲渡性預金、金融債(募集債及び保護預り契約が終了したもの)等 保護対象外
破綻金融機関の財産の状況に応じて支払われます(一部カットされることがあります)
(注1)

金融機関が合併を行ったり、事業のすべてを譲り受けた場合、その後1年間に限って、保護される預金等の範囲は、預金者1人当たり元本「1,000万円×合併等に関わった金融機関の数」までとその利息等とする特例が適用されます(例えば、2行合併の場合は元本2,000万円までとその利息等)。

また、複数の金融機関が同一の金融持株会社の子会社である場合にも、一般預金等は、金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。

(注2)

定期積金の給付補てん金、金銭信託における収益の分配のうち一定の要件を満たすものも、利息と同様に保護されます。

ハ. 決済債務の全額保護

顧客の依頼に基づく資金決済に係る取引(為替取引、手形交換所における手形、小切手等の提示に基づき行われる取引、金融機関の自己宛小切手に係る取引)に関し、預金保険の対象金融機関が負担する債務(邦貨で支払われるものに限ります)を決済債務といい、全額が保護されます。

全額保護される決済債務の例

1. 為替取引関係

為替取引に関し金融機関が負担する債務に係る資金とは、顧客からの依頼に基づいて隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する取引を行うため、金融機関が当該顧客(又はその取引金融機関)から受け入れ、未だ受け取るべき者(又はその取引金融機関)に支払っていない資金、又は当該取引に関する費用等の支払資金とされています。

(本類型に該当する例)
  • 振込、送金、口座振替等の依頼に基づいて顧客から受け入れた資金
    • 有価証券の売買、預金の受入れ、資金の貸付け等の業務に伴い、顧客から受け入れた、又は顧客に支払うための資金その他金融機関内部の事務処理に係る資金を含まない。
    • 売渡外国為替、未払外国為替等は、邦貨建てのものに限る。
  • 国、地方公共団体等の金銭の収納、代理貸付、有価証券の売買の媒介、株式払込金の保管、複数の金融機関間での決済資金中継事務等の業務に関して受け入れた資金
  • 現金自動支払機等の相互利用等による現金入出金業務、デビットカードサービス業務等に係る金融機関等の間の提携により生ずる債務の履行のための支払資金

2. 手形交換所における手形、小切手等の提示に基づき行われる取引関係

手形、小切手その他手形交換所においてその表示する金額による決済をすることができる証券又は証書について手形交換所における提示に基づき行われる取引に関し金融機関が負担する債務に係る資金とは、手形交換所において、手形、小切手等の提(呈)示が行われたことに基づく金融機関等の間の資金決済のための支払資金(代理交換を含む)とされています。

(本類型に該当する例)
  • 交換提示に基づく資金決済のための支払資金
  • 不渡手形返還に伴う資金決済のための支払資金
  • 不渡異議申立預託金

3. 金融機関の自己宛小切手に係る取引関係

金融機関が自己宛に振り出した小切手に係る取引に関し金融機関が負担する債務に係る資金とは、金融機関が自己宛に振り出した小切手を顧客に売却した場合に売買代金として受け入れた当該小切手の提(呈)示に基づく支払に充てるための資金とされています。

(本類型に該当する例)
  • 預手(預金小切手)の提示に基づく支払に充てるための資金
  • 送手(送金小切手)の提示に基づく支払に充てるための資金

ただし、為替取引及び手形交換所における手形、小切手等の提示に基づき行われる取引のうち、預金保険の対象金融機関やその他の金融業を営む者(注1)(以下、「金融機関等」といいます)の取引又はその委託に起因する取引による債務であって、金融機関等が業として行う取引(注2)又はその委託に起因する取引に関する債務は、預金保険で全額保護の対象となる決済債務には該当しません。

(注1)

金融業を営む者とは、預金保険法上の金融機関のほか、外国銀行支店、農業協同組合、農業協同組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会及び農林中央金庫をいいます。

(注2)

金融機関の業務に伴い派生した取引、及びこうした取引以外の取引であって金融機関や金融業を営む者が反復継続する意思をもって行うものとされています。

(本類型に該当する例)
  • 金融機関間で行う資金取引
(本類型に該当しない例)
  • 水道光熱費、事務委託費の支払

[預金等と決済債務の関係]

預金等と決済債務の関係図

(注1)

外貨預金、金融機関預金等は、「預金保険による保護の対象となる預金等」に含まれず、「上記以外の預金その他債務」に含まれます。

(注2)

一般預金等のうち、決済債務の弁済に充てられるものは、「みなし決済用預金」として、決済用預金とみなされ、全額保護されます。

(注3)

一般預金等のうち、みなし決済用預金以外の部分は、元本1,000万円以下の部分(斜線部分)を保護。

(注4)

決済債務のうち、決済用預金又は一般預金等にあたらないものを「特定決済債務」といい、仮受金等として経理されている決済債務が、これに該当します。

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