(1)破綻後の金融機関の業務

資金援助方式が採られた場合、金融庁長官に選任された金融整理管財人は、破綻金融機関の業務を暫定的に維持・継続する一方で、譲渡する資産等を選定し、破綻後6か月を目途に救済金融機関等への事業譲渡等を行います(救済金融機関等が直ちに現われない場合は、承継銀行に暫定的事業譲渡等を行います)。

破綻後の金融機関の業務内容は、その都度決定されることとなりますが、名寄せの結果等に基づき、支払ってよい預金等と支払を差し止める必要のある預金等を分別した上で、以下のような業務を行います。

付保預金の払戻し及び破綻後の新規預金等の受払い
決済業務
資金使途が適切であり、返済が可能と判断された場合の融資

なお、決済用預金は全額保護されますので、破綻前と同様の払戻しが可能になると考えられます。

イ. 預金業務

預金の払戻しのためには、預金者ごとの付保預金を特定した上で、支払を差し止める必要のある預金口座等からの預金等の払戻しを防止する措置や預金口座ごとの入出金記録を保存する措置等が必要になります。

預金保険機構は、破綻金融機関から預金者データの提出を受け、名寄せによる預金者ごとの付保預金額の算定結果等を破綻金融機関に通知します。

通知を受けた破綻金融機関は、これを基に、支払ってよい預金等と支払を差し止める必要のある預金等を分別するなど、預金等の払戻しに必要な準備を行います。その際、担保預金については、担保権が解除されるか被担保債権が消滅するまで支払を保留することになっています。

法的手続としては、例えば、破綻金融機関について民事再生手続が開始されている場合には、預金保険機構の意見を聴取した上で、裁判所から払戻しの許可が出される必要があります。

払戻しまでにどの程度の時間を要するかは、破綻金融機関における預金者データの整備の状況等により異なりますが、こうした状況が整って所要の手続が行われ次第、業務を再開し、速やかに払戻しを行います。

万一、名寄せなどの対応に時間がかかる場合には、窓口での預金等の払戻しを一部の業務に限定したり、預金等の払戻し開始までにある程度の時間を要することがあります。

資金援助方式の場合には、当該金融機関は事業譲渡等を目指して民事再生法下で業務を続けることが想定されているため、破綻後の新規預金等の受払いも行うことになると考えられます。

ロ. 決済業務

決済債務は全額保護されるため、ほとんどの仕掛り決済は実行されます(注)

(注)

金融機関が自らのために行う資金取引など、例外として保護されないものがあります(「決済債務の全額保護」参照)。また、金融機関が破綻した場合には、内国為替や手形交換所の現行制度上決済が実行できない場合もあり得ますが、この場合には当該資金や手形は返還されることになります。

資金援助方式の場合には、当該金融機関は事業譲渡等を目指して民事再生法下で業務を続けることとなると想定され、破綻後新規に受付ける決済取引は、付保預金あるいは新規受け入れ資金を原資とするものについては、すべて実行されることになると考えられます。

ハ. 融資業務

破綻金融機関は民事再生手続のもとにおかれる可能性が高いと想定されますが、金融整理管財人が、債務の履行状況、返済確実性等を勘案した上で、善意かつ健全な借手等への融資は引き続き行われることになります。

破綻金融機関からの既存の借入金については、破綻前に取り交わした契約内容(期間、金利ほか)が基本的に維持されます。

ただし、新規借入れや契約更新時には、経済情勢や債務者の状況等により、従前の借入条件が変更されることがあり得ることは、通常の金融機関との取引と同様です。

金融整理管財人の指導のもとで、新しい融資基準が設けられ、運転資金等が必要となった事業者からの融資申込みは、これに基づいて審査されます。

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