預金保険制度に関する用語一覧

  用語 説明
一般預金等 預金保険による保護の対象となる預金等のうち、決済用預金(「決済用預金」の項を参照)以外のものをいいます。預金者1人当たり合算して元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。有利息型普通預金、定期預金、通知預金、貯蓄預金、納税準備預金、定期積金、掛金、元本補てん契約のある金銭信託(ビッグなどの貸付信託を含む)、金融債(保護預り専用商品に限る)が含まれます。
(注)預金保険の保護対象ではありませんが、金融機関の営業が破綻後も継続される場合には、破綻翌日以降の利息も支払われることがあります(ただし、金利が引き下げられる可能性があります)。
可変保険料率 預金保険制度の対象となる金融機関が仮に破綻した場合に預金保険に与える損失リスクを、各金融機関が支払う保険料に反映させる仕組み。
概算払 「預金等債権の買取り」の項を参照。
監督委員 再生手続において、裁判所により選任され、再生債務者(破綻金融機関)の一定の行為に対する同意等を通じて再生債務者を監督します。
管理を命ずる処分 金融機関の破綻処理を金融整理管財人(「金融整理管財人」の項を参照)の管理の下で実施しようとする場合に、金融庁長官が当該金融機関に対して行う処分(預保法74条)です。この処分により、当該金融機関の代表権、業務執行権、財産の管理・処分権は金融整理管財人に専属することになり、従来の取締役等役員はこれらの権利を行使できなくなります。
共益債権 再生手続の開始決定以後の原因に基づき生じた請求権で、再生手続の遂行に必要な費用等に係るものなど、利害関係人の共同の利益に関するものをいいます(開始決定前に生じたものでも、裁判所・監督委員の許可により共益債権化することができます)。再生手続において、共益債権は、再生債権に先立って随時弁済を受けることができます。
金融整理管財人 金融庁長官が金融機関の破綻処理で管理を命ずる処分(「管理を命ずる処分」の項を参照)を行う際に選任されます(預保法77条)。その業務は、①旧経営陣に代わって破綻金融機関の業務を運営すること、②破綻金融機関の業務及び財産の状況等に関する報告や経営に関する計画を作成すること、③受皿となる救済金融機関への事業譲渡を行うこと、④破綻金融機関の役員等に対する責任追及を行うことなどです。
決済用預金 ①決済サービスを提供できる、②預金者が払戻しをいつでも請求できる、③利息がつかない、の3条件を満たす預金のことをいい、その全額が預金保険で保護されます。当座預金、無利息普通預金等がこれに該当します。
衡平資金援助 「資金援助」の項を参照。
最終受皿 「承継銀行」の項を参照。
再生計画 再生手続の下で、債務者・債権者間の権利関係を調整して、再生債権者などの権利関係を変更する計画です。この中で、再生債権に対する弁済額の割合(弁済率)も決められます。
再生債権 再生債務者(破綻金融機関)に対する再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権です。再生債権者は、再生計画の定めるところによって弁済を受けます。
なお、未確定の再生債権については、債権者平等原則に違反しないように、再生計画において的確な措置が定められることになります。
債権者集会 再生債務者(破綻金融機関)に係る再生計画案の決議等のために裁判所が招集する集会です。この集会で再生計画案が可決され、その後裁判所による認可決定が確定することによって再生計画は効力を生じます。
債権者説明会 破綻金融機関に対し預金以外の債権を有する債権者や、預金保険で保護される範囲を超える部分の預金等を有する預金者に対して、債務者自らが主催して行う説明会です。
債権届出 破綻金融機関に対する再生債権者が、再生手続に参加し、再生計画に基づいて弁済を受けるために行う届出です。再生手続開始決定時に定められた債権届出期間内に、各債権の内容及び原因、議決権額等を届け出る必要があります。預金については、原則として預金保険機構が手続を行うので、預金者自身が届け出る必要はありません(「預金者表」の項を参照)。
資金援助 破綻処理に際して、救済金融機関への事業譲渡等が行われる場合において、預金保険機構が行う金銭の贈与、資産の買取りなどをいいます。
救済金融機関に対して行う資金援助以外に、破綻金融機関の債権者間の衡平を図るために、破綻金融機関に対して行う資金援助(衡平資金援助)もあります。これは、事業譲渡等により健全資産等が救済金融機関に譲渡された結果、破綻金融機関に残された債権に対する弁済原資が減少した場合、預金保険機構が破綻金融機関に金銭を贈与して弁済原資の減少を補うものです。
また、破綻金融機関の資産精査や救済金融機関等の事業譲渡等が段階的に行われる場合には、当初の資金援助を行った後、追加的な資金援助を行うことがあります(追加的資金援助)。
承継銀行 破綻した金融機関の救済金融機関等が直ちに現れない場合に対応するために、暫定的に受皿となる銀行です。
預金保険で保護される預金等や金融庁長官から承継銀行が保有する資産として適当であるとの確認を受けた貸出資産等を引き継ぎ、業務の暫定的な維持・継続を図るとともに、最終的な受皿となる金融機関等(「最終受皿」)を探すことを主な目的としています。
現在、預金保険機構の全額出資により、(株)第二日本承継銀行が設立され、日本振興銀行の暫定的な受皿として機能しています。なお、平成14年3月に設立された日本承継銀行は、平成16年3月に解散しました。
精算払 「預金等債権の買取り」の項を参照。
整理回収機構 不良債権の回収等を主たる業務とする預金保険機構の100%出資子会社です。破綻金融機関の不良債権の買取り等を行っています。
責任準備金 預金保険法により、預金保険機構は、保険金の支払や資金援助等の財源となる一般勘定について、毎事業年度末において責任準備金を計算し積み立てることとされています。平成22年度末の責任準備金残高は、1,373億円となっています。
全額保護 「定額保護」の項を参照。
相殺 破綻金融機関から借入れがある預金者は、破綻金融機関に相殺を申し出ることで、預金と借入を相殺することができます。この制度を利用すると、預金が一部カットされるのを免れたのと同じ効果を得ることができます。
第二日本承継銀行 「承継銀行」の項を参照。
追加的資金援助 「資金援助」の項を参照。
定額保護 預金保険制度の対象金融機関が破綻したときには、決済用預金は全額(「決済用預金」の項を参照)、一般預金等(「一般預金等」の項を参照)は1人当たり元本1,000万円と破綻日までの利息等が保護されます(このように予め決められた範囲内で、実際に預金保険で保護される預金等を「付保預金」といいます)。
金融機関が破綻したときに、こうした付保預金のみが保護されるのが「定額保護」です。
定額保護による破綻処理では、付保預金以外の預金等や債権については、破綻金融機関の財産の状況に応じて弁済がなされるため、一部カットされることがあります。このため、これらの預金者をはじめとする債権者間の平等を保つため、再生手続等の法的倒産手続を利用することになります。
なお、金融機関の破綻に当たり、内閣総理大臣を議長とする金融危機対応会議の審議を経て、内閣総理大臣が必要がある旨の認定を行ったときには、金融危機対応措置として、例外的に預金等を全額保護することが可能です。
適資産 承継銀行(受皿金融機関)への円滑な業務の承継と、承継銀行の業務の健全かつ適切な運営を図る観点から、承継銀行が破綻金融機関から引き継ぎ保有することが適当であるとして金融庁長官の確認を得た資産です。正常先への貸付金及び要注意先への貸付金の一部などです。
名寄せ 金融機関が破綻した場合に、預金保険機構において、同一の預金者が当該金融機関に保有している複数の預金口座を集約して合算することにより、預金保険で保護される預金を特定することをいいます。
付保預金 「定額保護」の項を参照。
弁済率 「再生計画」の項を参照。
保険金支払 破綻金融機関の預金者からの請求に基づき、預金保険機構が、預金保険で保護される預金の額を保険金として預金者に支払うことです。保険金支払を行う場合には、預金保険機構の資金援助(「資金援助」の項を参照)を用いる場合と異なり、破綻した金融機関は直ちに清算され、その金融機能は消滅することとなります。
保険事故 預金保険発動の原因となる事由です。
第一種保険事故(金融機関の預金等の払戻しの停止)と第二種保険事故(金融機関の営業免許の取消し、破産手続開始の決定又は解散の決議)の二つがあります。
未確定の再生債権 「再生債権」の項を参照。
再生手続開始決定 裁判所は、再生手続(一般に「民事再生手続」ともいわれます)開始の申立てがなされると、再生計画案の作成、可決等の見込みがないことなどが明らかであるときなどを除き、再生手続の開始を決定します。決定と同時に、再生債権の届出をすべき期間(債権届出期間)と再生債権の調査をするための期間(一般調査期間)等が定められます(「債権届出」の項を参照)。
民事再生法 事業再建型倒産手続を規定する法律です。再生手続の特徴は、①手続開始のためには、破産原因が生じたことに限らず、そのおそれがあれば足りるため、早期の再建が可能であること、②手続を申し立てた再生債務者に財産管理処分権があること等です。同じく再建型倒産手続を規定する会社更生法によるよりも経営の自由度が高いといえます。
申立代理人 民事再生手続開始申立債務者(破綻金融機関)に代わって申立てを行う弁護士等の代理人です。
預金等債権の買取り 金融機関が破綻した場合に、預金保険機構が預金者からの請求に基づいて、預金保険で保護される範囲を超える部分の預金等債権を、一定の比率(概算払率)を乗じた金額(概算払額)を支払い(これを「概算払」といいます)買い取る制度です。この制度を利用すると、預金者は、倒産手続の下での弁済より前の早い時期に、概算払額相当の資金を受け取ることができます。
預金保険機構が買い取った預金に係る回収額(弁済額)と概算払額との差額をもとに精算払額を算出し、概算払を受けた預金者に追加的にお支払します(これを「精算払」といいます)。
預金者代理 「預金者表」の項を参照。
預金者表 預金保険機構が認識している預金等を一覧にしたものです。預金保険機構が作成した上で2週間以上預金者の縦覧に供し、債権届出期間の末日に裁判所に提出します。これにより債権届出があったものとみなされますので、預金者自身が届け出る必要はありません(なお、破綻金融機関から救済金融機関に事業譲渡が行われる場合、預金者表の裁判所への提出は、当該事業譲渡後になります。この事業譲渡により預金保険で保護される預金等が救済金融機関に引き継がれるため、預金者表に記載されるのは、預金保険で保護される範囲を超える部分の預金等になります)。
預金保険機構は、預金者表に記載されたこれら預金者のために、その預金等債権について、倒産手続上必要となる手続を代理して行います。

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